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【軽井沢移住】都心ではかからない建築費用【想定外の出費】

軽井沢移住、なるべく費用は安くすませたいですよね。
田舎暮らしだし、新築東京で家を建てるのに比べたら、全然安いでしょ。

そう思われている方、ちょっと待ってください!
確かに東京などの都会に比べ、軽井沢の土地が安いのは事実です。

しかし、冬は極寒、湿気がひどく、下水も整備されておらず、停電も多い・・・
そんな軽井沢で、家の資産価値を守りつつ、快適な住居を作るには、都会では想定外の設備が必要です。

この記事を書いたのは:
私は東京での家族4人の生活費が馬鹿にならないため、祖父から譲り受けた築43年の軽井沢の別荘を建て直し、移住することを決めました。
軽井沢移住の良い面だけではなく、私たちが体験した悪い面も含め、移住のリアルを語っていきます。

この記事では:
軽井沢での新築時にかかる費用、中でも、都会に住んでいると思い至らない費用を、詳細に解説します!
実際に我が家が払ったリアルな金額もお知らせします。

この記事を読むと:
軽井沢移住や新築をプロモーションするだけの記事からはわからない、軽井沢移住に関する予想外の出費について知り、備えることができるようになります。

結論は:
軽井沢新築、土地は安いが、建築費用は、自然条件のために都心より高くなる傾向!しっかり備えよう。

以下で詳しく説明していきますね!

目次:
1. 浄化槽設置費用
2. 地盤改良費
3. 樹木の伐採伐根(基礎までやる場合は伐根が必要)
4. 雑草対策
5. 窓(サッシ)
6. 断熱材
7. 換気システム
8. 薪ストーブ 

1. 浄化槽設置費用

軽井沢町では、人口の密集地や農業振興地域以外の場所では、下水道がありません。有名な別荘地などであっても、下水道の整備されていないのは当たり前。
なので、移住しようと思うと、「合併処理浄化槽」を設置しなければなりません。「合併処理浄化槽」は排水を有機物で分解して、薬品を使って安全な水にして放流するシステムで、寿命は20~30年といわれています。
我が家では別荘時代からの浄化槽がありましたが、設置後43年経っており、この度の新築を金い、新しいものと入れ替えるようになりました。

4人家族の我が家では、周辺土壌に湧水の可能性があるため「ポンプ槽」の付属した5人槽を採用

  • 浄化槽:45万円
  • 浄化槽設置工事:70万円
  • 排水配管工事:75万円

トータル200万円近くかかりました。(2022年5月契約)

新築をする方、築古の中古物件をお求めになる場合は、ほとんどの方にかかってくるコストだと思います。

かなり高額ですが、浄化槽の設置すると軽井沢町から、補助金がもらえます

【補助金額(2022年6月現在)】

  • 述べ床面積130㎡未満(5人槽)332,000円
  • 述べ床面積130㎡以上(7人槽)414,000円
  • 二世帯住宅・別荘(10人槽)548,000円

https://www.town.karuizawa.lg.jp/www/contents/1001000000887/index.html

これはかなり助けになりますね。
申請を忘れずに!

2. 地盤改良費

軽井沢は名前に「沢」が入っていることからもわかるように、土地の中には、元は沢や沼地だった場所があります。

そういった場所に新築をする場合は、地盤改良が必要になります。

前提:住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の制定以来、新築戸建ては原則建築前に地盤調査を行い、地盤が悪ければ地盤改良をする方向となりました。

我が家の場合は、既存の建物を壊しての新築でしたが、既存の建物が43年前のものだったため、新規の地盤調査を必要としました。

軽井沢の場合は、地盤調査の上で地盤改良が必要となってくる土地が多いとのことで、我が家は、別荘用の分譲地でしたが、周辺には地盤改良を必要としたお宅もあったようでした。

工務店さんにご紹介いただいた地盤調査会社さんに

スクリューウエイト貫入試験+ハンドオーガー試験+含水比試験

と調べていただき、幸い地盤改良は無しで大丈夫とのこと。

最悪地盤改良費として100万円くらいプラス手出しを覚悟していたので、ホッとしました。

※補足:高額だし、地盤調査しない選択肢はある?
品確法の制定以来、地盤調査は建設事業者が瑕疵担保保険加入に入る際の必須条件となっている、ということですので、「その資金を施主が全額払うのかおい・・・」とお思いの方もおられるかもしれません。
しかし、結局はご自身の資産価値にも影響しますし、せっかくの家が倒壊し、一回の地震で住めなくなったりしたら、家族の元も子もないです。
火災保険と比較し、地震保険の補償も手薄く、再建できるぐらいの金額は出ない現状では、トータルで損得を考えると地盤調査しない選択肢はあんまりないと思います。

3. 樹木の伐採伐根(基礎までやる場合は伐根が必要)

軽井沢の分譲地では、木が生えっぱなしでメンテナンスがされていない土地も存在します。
また、敷地の中の家を建てる位置によっては、木を切り倒す必要が出てきます。

また、伐った木の上に家を建てる場合、根を抜かずにその上に家を建てると、根が腐食した際に地盤沈下が起こるため、伐採に加え、根を引っこ抜く伐根が必要になります。

また、これらの作業を、建物が建つ前に行う場合は良いのですが、
もし、建築後にしようとなった場合、建物に危害が及ばないよう配慮しながら行う、高額の「特殊伐採」が必要となります。

どの木を伐るかなどは、建物の基礎を始める前に慎重に決めなくてはなりません。

【伐採が必要な木まとめ】

  • 家の基礎にかかっている木(伐根まで必要)
  • 家の日照条件を著しく悪くする木
  • 病気にかかっている木、朽ちかけて倒れそうな木
  • 生態系に危害を及ぼす樹木

我が家では、ありがたいことに、工務店の担当者さんが、異常なほどに樹木に詳しい方で、敷地のすべての樹種を鑑別し、生態系に害になる外来種などはないとわかりました。
また、我が家は、もともと建っている建物を壊し、ほぼ同じ位置に建てたので、伐根まで必要な木はありませんでした。
さらに、軽井沢の建築要綱に、なるべく木を切らないでという項目がありますので、我が家ではあまり木を伐らないようにし、結局、

  • 家に近すぎるところに生えてしまった木1本
  • 病気で倒れそうな木1本

計2本の伐採費用:3万円

解体業者さんにお願いし、伐っていただきました。
場合によっては数十万円かかる、と聞いていたので、思ったより少ない出費でホッとしました。
(解体費用は掛かりましたが)

※補足:薪ストーブを設置される予定の場合は、伐採していただいた樹木をいい感じの長さの丸太にする「玉切り」をついでにお願いしておくことをお勧めします!
薪代、馬鹿にならないですし、伐った木を自分で使えれば、木材輸送のエネルギーがかからないのでエコの観点からもプラスですしね!

5. 雑草対策

軽井沢の6~8月は雑草がやばいです。
都会に住んでいると、たかが雑草・・・とあんまりピンと来ないかもしれませんが、放置しておくと、庭を歩けないほどになってしまいます。
軽井沢の建築基準では、敷地は1000㎡以上、建蔽率は20%以下。
軽井沢に住むと自動的に、最低でも800㎡以上の庭を所有することになります。
そこから次々に生える雑草・・・

また、軽井沢の場合は、毎年7月25日から8月末までは、避暑地としての環境を守るため、工事自粛期間になります。
この期間にできないのは、建築だけではありません。
なんと、電動草刈り機が使えないのです。
雑草が元気で、しかも暑い8月に草刈り機使えない・・・

実際は、日当たりの悪い場所はあんまり雑草が生えないので、森の中に暮らす、というような敷地を選んだ場合は、そこまで雑草は生えてこないかもしれません。
しかし、エントランスやアプローチ、駐車場部分など、木を伐らざるを得ない部分には容赦なく雑草は生えてきます。

そんなわけで、どんな敷地でも、それなりの雑草対策は必要です。

軽井沢の風土にも合い、あまり景観を損ねない対策を3つご紹介します。

・グランドカバー
芝やイワダレソウなどの下草を植えておき、雑草が生えてこないようにする。
景観上は一番良い選択肢のように思いますが、植物なので、費用以外にもメンテナンスの手間がかかります。

費用目安
2000円~/㎡

・防草シート+ウッドチップ
防草シートとは、日光を遮断することで雑草を防ぐシートです。
安く手に入りますが、それだけだと見た目はただのシート。景観を損ねます。
そのため、上にウッドチップなどを敷くなど、組み合わせているお宅が多いようです。

費用目安
防草シート: 50~3000円/㎡ とピンキリ
ウッドチップ: 3000円~/㎡


・砂利を敷く
砂利を敷くことで、日光を遮断し、砂利の下の雑草が生えにくく、また、根を張りにくくなります。
石なので、そこまで景観も損ねません。
さらに、踏むと音がするので、防犯対策にもなります。

費用目安
1500円~/㎡

我が家では、日当たりの悪い場所はあまり下草が生えないのですが、駐車スペースやアプローチには砂利を引いています。
別荘時代のものあったので、それをそのまま使いました。
こういう風に、分解吸収もされず、長持ちする点は砂利の利点ですね。

6. 窓(サッシ)

軽井沢は、冬場大変寒い地域であり、
冬の最低平均気温は -8.7℃。-20℃越えの日もあります。

国土交通省の、省エネ基準地域区分では
東北のほとんどの地域より寒く、札幌や稚内と同じ2地域です。

そして、さらに問題なのは、軽井沢全域のすごい湿気です。
気温が下がれば、窓サッシは結露でびっしり。
何も対策をしていなければ、家の中も、すぐカビだらけになります。

軽井沢は、都心に比べ、建物の劣化の速度がすごく早い土地なのです。

快適な暮らし&物件の資産価値を守る

そこでお金をかけるべきは、ハイパワーの暖房設備よりも何よりも、高気密高断熱の窓です。

実際採用するとなると、樹脂サッシ&トリプルガラス(三層複層)がおすすめです。
樹脂はアルミに比べると熱伝導率が約1000分の1と非常に低く、サッシに採用すると、家の中の熱が逃げにくいのに加え、結露も防いでくれます

北海道など寒冷地ではかなり普及しているそうなのですが、本州ではまだまだ採用率7%程だそう。
窓にお金をかけなくても、気候が安定している日本ならではかもしれません。

また、都心でよく見る「引き違い窓」よりは「滑り出し窓」(コックがついてて、押して開けるやつ)の方が気密性は高いです。

我が家は総床面積30坪、総2階のコンパクトな、一般的な窓面積住宅ですが、窓にはお金をかけ、建物全部で

窓費用:170万円

これでも、開けない窓はなるべくFIX窓(採光用のあかない窓)にするなど、かなり節約しました。

これも、湿気の多い寒冷地、軽井沢ならではの出費です。

補足:樹脂窓はどうしてもフレームが太くなるため、景観を損ねる、という方は、アイランドプロファイルなどの高気密高断熱の木製サッシがおすすめです。
木の耐久性は素晴らしく、リビングの吐き出し窓などを大きな1枚ガラスで作ることができます。

ちなみに高すぎて、我が家ではあきらめました。
ですが本当に美しいので、こだわりのある方はぜひ!

7. 断熱材

一番に優先されるべきは窓ですが、屋根、壁、床の断熱材も大切です。
今最も注目されている断熱基準
HEAT20(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)の定める
冬期間、部屋の中で体感温度を10度~15度以上に保つために必要な断熱性能

これを省エネ基準地域区分、2地域(超寒い)の軽井沢で、ということになると従来の充填断熱だけでなく、外張り断熱も必要になってきます。

我が家ではネオマフォームやセルロースファイバーを採用し、

施工費用込:180万円

窓と合わせると350万円ほど使った計算になります。

8. 換気システム

2003年の建築基準法改正により、現在、新築住宅には24時間換気が義務付けられています。

主な換気システムは以下の通り、

  • 第一種換気(全熱):吸気の温度+湿度、排気量のコントロール 
  • 第一種換気(顕熱):吸気の温度、排気量のコントロール
  • 第三種換気:排気のコントロール

上に行くほど高度なシステムになり、お値段も上がります。

第三種換気システムは、導入費用が安価
さらに、システムが単純な分、電気代などのランニングコストも安価
メンテナンスも第三種換気の方が楽です。

いいことづくめの第三種換気。
それもあってか通常の都心の物件ですと、第三種換気がメインだそうです。
しかし、軽井沢の新築では湿気と寒さ対策のため、第一種換気(全熱)を採用される方がほとんどだそうです。

ちなみに、かなり気密断熱、不動産にお詳しい、有名軽井沢Youtuberの櫻井泰斗さん・ユウコさん夫妻
https://www.youtube.com/channel/UCeoQ2TESYiXtI0oAw19H2FA
のお宅はあえての第三種換気をご採用されているようです。

ただこれは、追分(湿気少ない)で、薪ストーブ装備(ハイパワー除湿可能)でらっしゃるからかもしれません。

湿気のめちゃ多い軽井沢東部に位置する、南軽井沢地域の我が家では、泣く泣く第一種換気(全熱)を採用しました。

工事費込み費用:95万円

ちなみに第三種換気のお見積もりは、工事費込みで15万円でした。(全然違う)

また、換気システムの性能を担保するための、家の気密測定も実施していただくことにしました。
費用5万円もかかりましたが、これで家の性能や、快適性、数年後の資産価値が変わる、と思うと省く気にはなれませんでした。

9. 薪ストーブ 

これだけ気密断熱と換気システムにお金をかけたおかげで、うちのメイン暖房は2台のエアコンだけにすることができました。

昭和生まれの私のような人間からすると、直感に反するのですが、技術革新により、実は現在は光熱費あたりの暖房効率は、全暖房器具の中でエアコンが最強だそうです。
エアコンの熱効率の良さは異常・・・
「エアコン消して、ストーブにしなさい」といわれて育ったのは何だったのか・・・

そんなわけで、これは完全な趣味なのですが、憧れの薪ストーブを設置することにしました。

ただ、趣味以外の側面としては、停電の多い軽井沢のこと、もし冬季に長期間にわたる停電があった場合は、命にかかわる事態になりかねません。

そんなときの備えとして、薪ストーブは良い選択かと思います。

また、ただでさえ冬の長い軽井沢です、家族で火を囲む体験は、長い冬を乗り越える力になってくれます。
そういった思いで(もちろんハイパワーの暖房器具としても)軽井沢では薪ストーブを採用されるお宅が多いようです。

さらに、換気システムとして第三種換気を選択されれば、湿気対策には除湿器よりもハイパワーな薪ストーブが必須になってくるかと思います。

設置工事込の費用:140万円

※補足:他、木を燃やす暖房器具として、ペレットストーブと暖炉があります。
しかし、ペレットストーブは電気を必要とするので、停電対策には不向きです。
また、暖炉はその燃焼方法により、高気密高断熱住宅には向きません
そんなわけで、我が家では薪ストーブを採用しました。
暖炉っぽい雰囲気にあこがれる方は、埋め込み型の薪ストーブが一案かもしれませんが、そこだけ壁の断熱材が薄くならないような特別な設計が必要かもしれません。

まとめ

冬は極寒、湿気がひどく、下水も整備されておらず、停電も多い・・・
そんな軽井沢で、家の資産価値を守りつつ、快適な住居を作るためにかかる、プラスアルファの費用についてまとめました。
どれも都会で賃貸暮らしの身には、想定外の出費でした。
確かに軽井沢は土地は安いのですが、建物を建てるためには余裕のある資金計画を立てる必要がありそうです。